福岡県立美術館コレクション展 人間ドラマティック 古賀 春江《埋葬》

 

 

古賀 春江こが はるえ
KOGA Harue
明治28年-昭和8年(1895-1933)

埋葬まいそう
Entombment
大正11年(1922)
水彩・紙
watercolor on paper

 

古賀 春江

久留米市出身の古賀は日本におけるシュルレアリスムの先駆者として知られますが、同郷の画家・松田諦晶に学び水彩画家として出発しました。浄土宗の寺に生まれ、幼いころから絵を描くことに長けた古賀は画家を志して福岡県立中学明善校を中退、大正元(1912)年に上京します。若手作家の急進派グループ「アクション」に参加後は、西欧の最先端の作風を積極的に取り込みながら、異才の前衛画家として活躍します。しかし、強健とはいえない体力面での悩みも多く、晩年は神経衰弱を抱えるなど、精神的に不安定な状態が続きました。才能豊かな画家の生涯は、わずか38歳で幕を閉じます。

 

《埋葬》

棺をじっと見つめる人々の様子や、寒色を基調とした画面からは儀式のしめやかさが伝わってきます。この絵を描く前の年、古賀は我が子の死産に直面します。師・松田諦晶に宛て、お金がなく生まれてくる子どもに何の用意もしていない不安を吐露し、仕事の斡旋をお願いした2週間後の出来事でした。その後再び松田に宛てた手紙に「唯不思議で堪らない、思へば思う程不思議だ」と綴ります。“ 思へば思う程” とあるように、この出来事は古賀の心を幾度とよぎり、人間の生と死について深く考えさせ、宗教的な主題に向かうきっかけとなりました。

 

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